もり塾を歩き切った——その後も続く、ライター修業の旅。
「もり塾ブックライター・編集ライター養成コース」第1期を修了したノムラが、バリバリ稼げるライターを目指し、歩み続ける様子を綴ります。第13回は、副業ライターが取材をすることの難しさについて。
偶然立ち寄ったお店での取材が成功し、手応えを感じていたのも束の間。
訪問しても様々な要因に阻まれ、取材先を確保できない日々が続いていました。
本業の休日には限りがあります。
焦りを感じて、1日あたりの訪問先を増やしてみたものの……。
訪問数を増やしても取材先を得られるとは限らない
最初の取材が成功した勢いに乗って、あらかじめ候補に挙げていた数件を、本業の休日を利用して次々と訪れていきました。
しかし、責任者が不在だったり、他の来店客に遠慮したりとタイミングが合わないこともしばしば。
あまつさえ、いざとなると尻込みして取材を切り出せないなんてことも。
効率的に回るため、同日中に移動しやすい場所で以前から気に入っていたお店を2件ほどピックアップして訪問することにしました。
隠れ家的なお店は宣伝に消極的
1軒目は、住宅街にある小さなカフェ。
住まいの一階を改造しアンティークな調度品をしつらえたお店で、女性が一人で営んでいます。
頃合いを見計らってコーヒーを運んできた女性に、以前にも来店したことを伝え、珍しい家具などについて質問をしながら会話を盛り上げます。
昼下がり、自分以外に来店客はいません。
唐突に取材を切り出すことに躊躇いを覚えつつも、原稿数が間に合っていない焦燥感に駆られ、おずおずと名刺を出します。
「あんまりそういうのは……」
と、あっさりお断り。
宣伝には力を入れず、自分のペースを守れる範囲で営業しているようです。
せっかく話が弾んでいたのに、なんとなく気まずい雰囲気が漂います。
潔く取材を遠慮する旨を伝え、話題を変えて和やかな空気を取り繕う私。
また一つ候補が消えたという落胆と焦りで、顔が歪みそうです。
落ち着いたそぶりで残っていたコーヒーを飲みほし、店主に料理のお礼を丁寧に伝え、次の候補先へ急ぎました。
拡散力のあるWEBに違和感
歩いて数分ほど離れた2軒目。ホットドッグのテイクアウトもできるカジュアルな雰囲気のお店です。
掲載許可がいただけたら使用するつもりで、外観数枚を撮影してから店の扉を押します。
なんとか取材先を確保したい私は、
「こんにちは〜」
なるべく愛想よく中に入ります。
「なんですか?」
と、店主の男性は厳しい口調。
たじろぎながら食事を注文すると、
「外を撮影してましたよね」と店主。
見れば、レジ近くの壁に「店内撮影お断り」という張り紙が。
SNSには様々な画像があふれている時代です。
外観だけなのにと訝しく思いましたが、丁重にお詫びを伝えました。険悪な空気が流れ、取材どころか居心地の悪ささえ感じます。
ホットドッグを頬張りながら平静を装っていましたが、粘って取材を申し出るのか、後日出直すか、頭の中はパニックに陥っています。
ふと気がつけば、カウンターには過去に掲載された雑誌が数冊。取材の話を切り出すにはうってつけのツール。それを話題にしながら、ここぞとばかりに名刺を出します。
すると、店主は案の定といった様子で、ため息をつきながらポツポツと答えてくれました。
雑誌以外は全てお断り、特に拡散力のあるWEBは絶対NG。
観光地が近いせいかSNSの投稿が原因で、たいそう困った経験があるそうです。
常連客をメインに、ご夫婦でゆっくりと営んでいきたいとのこと。
取材先探しに追い詰められていたとはいえ、心配りに欠けた行動を大いに反省。
自宅からも近く、お気に入りのお店だからこその取材申し出であったことを丁寧に説明し、なんとか後味の悪い雰囲気を残さずにお店を出ることができました。
私は当初、ネタ探しとは、数あるお店の中から取材したいお店を発見することだと思っていました。
目当てができても、様々な理由で取材に至らないことの多さを想定できていませんでした。
何件も訪問したのに取材先が得られない私は、まるでノルマが達成できない営業マンのよう。
心が折れて、悲鳴をあげたいほどです。
もり塾で学んだことを思い出して前へ進む
「ライター養成講座・もり塾」では、取材先確保のために、まずは企画を立ちたげ、取材依頼書を作って先生に提出。
内容に、添削修正を加えていただいて始動という手順を踏んでいました。
これらの行程を省いたうえに、いきなり訪問して取材依頼から掲載許可までいただこうとしているのです。ほとんど経験のない私が、なかなか結果を出せないのも当然なのかもしれません。
冷静に考えてみれば、思いつき、行き当たりばったり、ぶっつけ本番の連続。
これから改善できる余地は多くありそうです。
経験不足を理由に嘆いていても成長できません。
森先生の言葉を思い出します。
「ただ書くだけではダメ。
企画もできます。
取材します。
どこにでも行きます。
なんでもやります、できますと言う。
初心者ライターは、
そうやって仕事を得ていくのです」
今回のお仕事は、まさに書くだけでなく全ての行程を自分でこなすことができる貴重な機会。
自分なりの知見をいかし、自分にしか書けないコンテンツを目指して、創意工夫と試行錯誤を繰り返していく!
やっとつかんだライターの仕事なのですから。
第14話「一人で編集会議」に続く。 2024年6月公開予定!
野村 紀美子(のむら きみこ)
アパレルメーカーで販売業務を20年。
2万人以上の女性に接客し、「ファッションは人の心を豊かにし、人生も変わる」と確信。現在は店長職を辞し、女性やサービス業の人々にエールを送りたいとライター修行中。 https://www.instagram.com/marmaidolphin
もり塾ライター養成コース卒業制作では、LOF ホテルマネジメント日本法人社長薄井シンシアさんを取材した。
予告編はこちら→ https://mori-jyuku.com/booklets-5/