もり塾を歩き切った——その後も続く、ライター修業の旅。
「もり塾ブックライター・編集ライター養成コース」第1期を修了したノムラが、バリバリ稼げるライターを目指し、歩み続ける様子を綴ります。第11回は、初仕事、初取材!
地域情報誌に応募して不安ながらも面談へ。テスト原稿を提出することになりました。偶然立ち寄った店に個性を見いだし再訪して取材。ついに初原稿の完成です!
フリーランスが仕事を得る面談は、就職活動と似ている
地域情報誌の求人募集を見て、電話で応募したところ、詳細については面談を受けることになりました。
転職活動の面接は経験があるので要領を得ていましたが、フリーのライターとして仕事の話をする面談は初めてのことです。
「面談と聞いたけど、就職の面接のようなもの?」
「指定はなかったけど履歴書は必要?」
と疑問ばかり浮かんできます。
ここはポートフォリオを作って自分を売り込む場面のはずと思い当たりました。しかし今はまだ、それを埋める経験が少ないという現実が私を消極的にします。
「この案件が成功すれば、次はこれをポートフォリオに載せることができる!
そのためには、採用してもらうことが重要。
「フォーマットは自分流、慣れている履歴書と職務経歴書で挑もう」と、悲観的な考え方を改め、希望的に捉え直すことにしました。
自分の可能性をアピールし、意欲を伝え、条件を交渉し、仕事を得る。
手法は異なるけれど、一般の求人募集の面接と、個人のフリーランスが仕事を請けるための面談とはさほど大きな違いがないように感じました。
面談は、クライアント様の要望と今後の展開や計画を伺い、自分が納品可能なスケジュールについて伝えるというもの。比較的カジュアルな雰囲気で、あまり緊張せずに話を進めることができました。
採用については、一度テスト原稿を提出してからの判断を待つことに。
可能性が開けたことで心が躍りましたが、本番はこれから。逸る気持ちを抑え、気を引き締めて取りかかろうと、自分を戒めます。
通り過ぎていた店も、立ち寄れば取材候補に
この情報誌は有名な観光スポットや大きな施設ではなく、地元の人しか知らないような場所や、生活に役立ち、かつ住んでみたくなるような情報の発信を目指しているそうです。
即座に思い浮かぶのは自宅周辺の数軒。
私は普段、自転車で行動しているせいか、新しいお店を見つけても、
「いつか行ってみよう」
と通り過ぎてしまうことがほとんどです。
知ってはいたけど入ったことがない、食べたことないという店が案外多いものと思い当たり、まずは一軒一軒訪れてみることにしました。
ある休日の昼下がり。サイクリングの帰り道に、夜になると焼き鳥とお酒を出す飲食店の前を通りかかったときのことです。
以前は日中にお弁当を出していましたが、代わりに焼き芋が店先に並んでいるのを発見しました。
いつもなら寄り道しないところ、
「寒いし小腹も空いたし、おやつに買って行こうかな」
と、自転車を止めます。
テラス席の角には、大人の腰までありそうな大きな素焼きの壺と、厚さ10センチほどの重そうに見える木蓋。
傍には商品の特徴が書かれたボード。
川沿いでロケーションも良いし取材ネタになるかも、とひらめきました。
タイミングよく店の中からスタッフの青年が出てきます。
私は、大きな壺を見ながら
「お芋は、この壺で焼いているんですか」
と聞くと、
「蒸し焼きにできるから旨さが違う」
と、青年は誇らしげに説明してくれます。
私は、買いたい気持ちと知りたい気持ちが高まって相槌を打つ声が弾みます。
普段は、どこか店に入ってもスタッフの方と話すのは煩わしく感じていて、要件を伝える以外は口数も少なく、そっけない客だった私。
取材と名打たなくとも気さくに話しかけている自分に、大きな驚きを覚えました。
味見のために数種類を購入、情報収集のためSNSも登録し登録特典の芋チップスもいただいて帰路につきました。
家に帰って食べてみると、味や食感にかなり特徴を感じる焼き芋。
SNSによると、先ほどの青年が大志を抱きつつ独自に携わって担当しているようです。
テスト原稿の条件に合うと考え、こちらの店を記事として書こうと決めました。
ライターとして再訪
担当するコンテンツは小さいので、すぐに書けると安易に考えていました。
しかし、商品と立地だけでは文字数も不足、誰でも調べればわかるような簡単な記事にしかなりません。
「もっと詳しく、できれば青年の思いも伝えたい」
と気持ちが膨らんでも情報が不足していています。
大袈裟な取材は不要と聞いていましたが、掲載許可もまだいただいていません。
質問を事前に準備、名刺を携えて再訪。
今度は、自分がライターであることを名乗り、掲載媒体の説明もします。
もしも断られたらと心配しましたが、青年も店主も、快く承諾していただき胸を撫で下ろします。
青年は取材にとても協力的で本当に助かりました。
中でも、お芋から湯気が出る様子を撮影するのが難しく、何度も温め直してくれたことに、深く感謝しています。
取材した内容をもとに、ようやく自分なりに納得のいく原稿が完成。提出して結果を待ちます。
もり塾のブログで培った私らしい文章が決め手
「野村さんの感じが出てて良い」
と、即採用の連絡をいただきました。
私らしさというのは、おそらく「もり塾・ライター養成講座」のブログを読んでいただいての感想ではないかと思っています。
あまりにも結果が早くて気持ちが追いついていませんが、ついにライターとしての本格的活動が始まりました。
心踊る思いでいっぱいの私は、乗り越えるべき課題の多さにまだ気づいてはいませんでした。
第11話「ライターは、取材をどう効率化するのか」に続く。 2024年4月公開予定!
野村 紀美子(のむら きみこ)
アパレルメーカーで販売業務を20年。
2万人以上の女性に接客し、「ファッションは人の心を豊かにし、人生も変わる」と確信。現在は店長職を辞し、女性やサービス業の人々にエールを送りたいとライター修行中。 https://www.instagram.com/marmaidolphin
もり塾ライター養成コース卒業制作では、LOF ホテルマネジメント日本法人社長薄井シンシアさんを取材した。
予告編はこちら→ https://mori-jyuku.com/booklets-5/