もり塾

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【もり塾を歩いたら(2)】自分が著者なら何を書く? 〜書籍の企画で得た意外なこと〜

もり塾を歩き切った——その後も続く、ライター修業の旅。
「もり塾ブックライター・編集ライター養成コース」第1期を修了したノムラが、バリバリ稼げるライターを目指し、歩み続ける様子を綴ります第2回は、もり塾で受講した「意外な講座」の話。

ライターの仕事は、ライティング技術だけでなく関連するスキルを強化すると、再依頼や紹介が増え仕事を拡充できる可能性が高まります。
中でも企画を提案するのは、著者になるチャンスというだけでなく、効果的なアピール材料になります。
仕事を得るためのノウハウの一つとして「書籍の企画書を作成する」という課題が出ました。


目次

採用される企画書とは

ライターは依頼を受けて仕事を受けることが多いものですが、出版社などに自分で企画を持ち込んで応募する場合もあります。

『もり塾』では仕事を得る可能性を高めるために、「企画書の書き方」という講義がありました。

講師の方は、「本を出版したい人」と「出版社の編集者」をつなぐ仕事をされていて、毎日持ち込まれるたくさんの企画を見ています。

採用側から見た採用されやすい企画書とはどんなものか、2回にわたって詳しく解説していただきました。

制作費を自分で賄う自費出版ではなく、出版社が出資する商業出版の場合、「出版社が採用したい書籍の企画」とは、「売れそうな本、すなわち読者が多い本の企画」と言い換えられるそうです。

より多くの人に読んでもらえる見込みがある企画であり、出版社の編集者が頷ける内容の企画書であることが求められます。

企画が採用されるためには、何を書くか(テーマ)、誰に書くか(読者ターゲット)、いつ出すか(時代背景)、この3つのポイントを押さえること。その魅力的な企画が編集者の目に留まるような企画書を作って応募することが重要。

1回目の講義で「売り込みたい内容は箇条書きに列挙する」、「類書を調べる」、「著者のプロフィールを魅力的に書く」などのコツを、詳しくレクチャーしていただいた後、2回目の講義に向けて課題が出ました。

自分を著者と想定した書籍(実用書)の企画書を作る
というもの。

それを聞いたとき、私は耳を疑いました。

「自分が著者⁈」

仲間たちも息を呑み、戸惑っている様子。ZOOMの画面上で顔がこわばっています。

書くことが好きな人の中には、自分が書いた書籍を出版する望みを抱いている人もいるでしょう。

しかし、この『もり塾』に集まった私たちは、編集ライターやブックライターを目指しています。基本的には、人物や場所、事柄を取材したり調査したりして記事や本にまとめる役割のライターで、自分が著者となって書くことは想定していません。

私とて、中学生の時に「作家か漫画家になろうかな」と一瞬思ったことがあるだけで、現実的には大それたこと、大人になってからは考えたこともありません。唖然とするばかりでした。

もし自分が本を出すとしたら、何を書く?

意表をつかれた課題に驚いたものの、「もし自分が本を出すとしたら……」と考えると少しだけ夢見る気分になりました。

思いに耽って考えを巡らせます。

私が本に書けるほど深く濃く語れることは何か? 

世に伝えたいことや、日頃から興味を抱いていることは何か?

得意なこと、好きなこと、深く関心を寄せていること。できれば気づきやエピソードのストックが多いもの。

そして講義で教わった、採用されやすい条件を満たすもの。

長く勤めたアパレルの仕事を思い浮かべたものの、読者ターゲットが限られ書籍の企画として成立するかどうかも疑問。

思考も内容もまとまらずテーマが決まりません。夢見る気分は消え去り、焦りが募ります。

実際に出版するわけではないのですが、60年近く生きてきたのに語れることのなんと乏しいことか。仕事と子育て以外の体験の少なさは情けないほどです。

また、著者プロフィールの部分は、自己紹介の課題のときと同じ。自分はどんな人物か? 再び自分を深く掘り下げて考えなければなりませんでした。

書面を仕上げることよりも、内容に悩んでいるうちに締め切りが迫ってきます。

やはり長く携わってきたアパレルや商業施設に関することをテーマにしようと決めたとき、体調を崩して高熱と戦いながら書くことに。中途半端な仕上がりのまま提出してしまいました。

課題も仕事の訓練ととらえるなら、体調不良などの不測の事態も想定して余裕を持った日程を組んでおくべきといところです。重い気分のまま講義の日を迎えました。

ライターとは関係ない仕事も強みになる

講義は、仲間たちの個性溢れる企画の発表と先生からの講評。テーマ性とその掘り下げ方、具体性や時代背景などそれぞれの課題を分析しながらレクチャーが続きます。

私の発表は、あやふやなテーマ、まとまりのない中途半端な内容、さらに体調不良を言い訳にするという不甲斐ないもので恐縮していました。

しかしながら先生は、私のプロフィールについて、「アパレルで20年以上って、長いですよねぇ」
と感心した様子です。

「まあ長いですかねぇ」
と私は不思議な心持ちでした。

多くのサラリーマンと同じ、ただ同じ会社に勤めて辞めなかっただけのこと。私は子育てでブランクもあるので、長いと思ったことはありませんでした。

「20年って、長いですよ」と繰り返され、「そのお仕事は好きだったのですか」と聞かれたときも、

「たぶん好きだったと思います。ほかに出来ることもなかったですし……」
と私は小さな声で答えます。

それを生かして何か書いていくべき! 
長く続けた仕事は専門性が高い
好きなことと得意なことを掛け合わせると大きな強みになる。
強みはライターの武器になる」
と、力強く励ましてくださいました。

私は、こそばゆさを感じながら目を見開いて驚きました。

独身時代もアパレル販売員、事務仕事の経験もPCスキルもなかったので、子育て後にもその仕事を選んで続けただけのこと。優秀なカリスマ販売員でもなかったし、すでに退いて違う仕事に就いていました。

出版とは直接関係のない職種ですし、ライターとしての強みにもなるとは思いもよらないことでした。

時折、ファッションについて書いてみたらという意見をいただくこともありました。しかし、女性向けファッション誌は大手出版社が発刊するもので、私にとって雲の上のような存在。昔の夢と諦めていました。

「ブログやSNSを活用すると良い、極めればニッチな知識としてどこかで取り上げられることもある」
など未来が明るく感じるようなアドバイスもいただきました。

書く仕事を続けていくには、強みや得意分野を生かしていくことが肝要

さまざまな講義でいろいろな先生が、異口同音に強調します。

この講座は私にとって、強みの認識に繋がり、ライターとして歩んでいく方向性のヒントと自信をもたらしてくれました。
今でも感謝でいっぱいです。

いつもは渋々記していた自分のプロフィール。
ひょっとしたら、本のカバーに載せる日が……? これからは誇りを持って書こうと思えた瞬間でした。

第3話「教わったこと、いつ始めるの?」に続く。
2023年6月公開予定!

野村 紀美子(のむら きみこ)

アパレルメーカーで販売業務を20年。
2万人以上の女性に接客し、「ファッションは人の心を豊かにし、人生も変わる」と確信。現在は店長職を辞し、女性やサービス業の人々にエールを送りたいとライター修行中。 https://www.instagram.com/marmaidolphin
もり塾ライター養成コース卒業制作では、LOF ホテルマネジメント日本法人社長薄井シンシアさんを取材した。
予告編はこちら→ https://mori-jyuku.com/booklets-5/

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