もり塾を歩き切った——その後も続く、ライター修業の旅。
「もり塾ブックライター・編集ライター養成コース」第1期を修了したノムラが、バリバリ稼げるライターを目指し、歩み続ける様子を綴ります。第15回は、ライターの基本「情報収集」とその落とし穴について。
ネタ探しや効率的な取材のために、以前よりも多くの時間を費やして、情報収集と調査に励むことにしました。漠然と街を歩きまわるよりも効率的なはず、現場へ出向くことを忘れて調査に没頭する日々。しかし、調べれば調べるほど、情報の氾濫に圧倒されるばかり。オリジナリティのあるネタの発見は困難で、焦りが募ります。
情報の氾濫におののく
取材のためには念入りな下調べが重要。
まずは、候補に挙げている取材先をネット上で調べ、定休日などの基本情報や、メニュー構成、特徴を確認します。
SNSのアカウントがあれば必ずフォローします。
タイムリーな情報が自動的に入手できて、とても便利。
また、ほかのフォロー先に巡り合い、芋づる式に多くの店やサイトにつながることもできるので、ネタ探しの範囲が拡大していきます。
さらに、競合しているほかのサイトや情報誌、書店で販売されている地域雑誌や旅行誌も参考にします。
これらは、情報収集のほか、記事内容が重複しないように気を配るのが目的です。
驚いたのは、この地域の情報を発信している個人やサイトの多さです。想像以上に、かなりの量の情報が出回っていました。
隠れ家だと思っていたお店が、すでにほかの媒体で掲載されていたり、実はとっくに人気を得ていたり。
もともとこの地域周辺は、観光地としても有名なのですが、ロケーションも良く、都心への通勤圏内でもあることから、近年は住みたい街としても人気が上昇中。
お店や施設も激戦地なら、情報発信も激戦地だったのです。
私は長く住んでいるし、休日にはサイクリングしながら、あちこち走り回ったりもしています。
でも、日常生活を送っているだけでは知識も行動範囲も限定的で、街を詳細に知り尽くしているわけではなかったのです。
それまでの、好奇心の乏しさと行動力の少なさを痛感しました。
足が止まると、ペンも止まる
クライアント様のご要望通り、あまり知られていないお店や場所を発掘できるのか。
これまでの選定は適切だったか。
今後は何を頼りに探せばいいのか。
不安と失望に襲われます。
何本か続けて原稿を提出した後で、
油断していたのでしょう、
取材ストックも残り一本しかありません。
すぐにでもどこかへ出かけて、取材申し込みに奔走すべきところです。
しかし調査をすればするほど多くの情報にでくわし、ますます混乱するばかりで判断できません。
「このままでは、この仕事を続けられないかも」
焦りに駆られながらも、調査と検索に気を取られ、
取材済みの原稿にさえ手をつけられない日々が続きます。
歩けばネタに当たるはず
もり塾の講義の中で
「ネタは、足で探す!」
と聞いたことがあります。
「ネット検索で、簡単に即座に情報が得られる時代なのに、現場を歩き回るなど時代遅れなのでは?」
と、半信半疑で腑におちず、聞き流してしまったことを思い出します。
しかし、私がこれまで取材先に出会えたのは、思いつきであったとはいえ、現場に出向いたからではありませんか。
「ここまで多くの情報が氾濫しているなら、そもそも掲載されたことのないお店の方が少ないのではないか。だったら自分が本当に取材したいと思う場所やお店に一つ一つ当たっていき、自分にしか書けない文を、内容を書いていく」
「足で探すしかない」そんなふうに考えを変えてみたのです。
やっぱり、とりあえず、行ってみる
ある日、候補に考えていたお店を、思いきって訪ねてみることにしました。
観光地や大きな乗換駅から離れているのに随分とお洒落なカフェがあるなあ、と気になっていたお店。
あらためて調べると、“映えスイーツ”が人気を集め、ほかの情報誌や雑誌にも何度か取り上げられているようです。以前に下見を兼ねて通りかかったときは、週末だったせいか随分と混雑していて、その盛況ぶりに気後れを感じていました。
比較的空いていそうな時間を狙って訪問。
圧倒されそうなお洒落な内装、物静かな雰囲気の女性にたじろぎますが、調べたスイーツを話題にしながら、果敢に取材依頼に挑みます。
店主の女性は、あっさり快諾。
目を輝かせながら笑顔で取材の日程を決めてくれました。
私は感謝を伝えながら、ほっと胸を撫でおろし、
「情報収集に気を取られ過ぎて、現場へ出向くことをおろそかにしていたのだ」と、気づいたのです。
現場へ行くと、気持ちが前向きに
取材先が決まると、停滞していた取材済みの原稿執筆にも着手できて、どんどん文章が浮かんでくるから不思議です。
取材したいお店も、時間をかけて調べただけあって、大量の候補先が列をなして捌ききれないほどあるではありませんか。
昨日までの、焦りと不安な日々が払拭され
「行ってみよう、聞いてみよう、書いてみよう、そして色々な人の役に立ちたい」
奇妙なほど積極的な気持ちが湧き上がってきます。
もちろん下調べは抜かりなく行うべきですが、現場へ出向くことを忘れてしまわないように、バランスの良い行動が重要。
やっぱり「ネタは足で探す、歩けば書ける」だったのです。
第16話「イベント取材はネタの宝庫」に続く。 2024年8月公開予定!

野村 紀美子(のむら きみこ)
アパレルメーカーで販売業務を20年。
2万人以上の女性に接客し、「ファッションは人の心を豊かにし、人生も変わる」と確信。現在は店長職を辞し、女性やサービス業の人々にエールを送りたいとライター修行中。 https://www.instagram.com/marmaidolphin
もり塾ライター養成コース卒業制作では、LOF ホテルマネジメント日本法人社長薄井シンシアさんを取材した。
予告編はこちら→ https://mori-jyuku.com/booklets-5/