もり塾の卒業制作にあたり、私の尊敬する先輩であり元国際協力NGO職員でパーマカルチャー(永続可能な農的暮らし方)実践者の谷山由子さん(63)を取材しました。
谷山さんはとにかく真っ直ぐで行動力あふれる方です。それは1980年代のタイの難民キャンプに単身で飛び込んだところからもわかります。でも真面目な硬派かと思うと、そうでもない。自然体で感覚派、目をクリクリと表情豊かに語ってくれるとっても魅力的な女性なのです。
谷山さんの国際協力の経験は実に豊富です。カンボジアでは有機農業を広め、孤児院の子どもの世話をして、アフガニスタンでは古くから出産を助ける産婆たちをトレーニング。東日本大震災の後は福島県でコミュニティづくりにも取り組みました。そこに一貫するのは常に困難な状況を強いられた人たちと共にいること。谷山さんのポリシーがブレることはありませんでした。
退職後ものんびりするどころか、ますますアクティブな谷山さん。社会福祉士の資格を取得し、パーマカルチャーの研修に通う。次は南伊豆へ移住して自然の中で野菜や野草をつくる。そして沖縄との2拠点生活を始めました。
ブックレットでは順調満帆にみえる南伊豆と沖縄での暮らしを支える裏舞台や、1人の女性として自分と向き合い、ときに苦悩し、スランプから抜け出す方法がクリアに語られています。
いくつになっても自分らしく生きることを躊躇わない。自然体の谷山さんから私たちは勇気と安心感の両方が得られると思います。「100歳時代」という言葉に翻弄されることなく「自分のままでいい」と自分を受け入れる。そして無理なく社会とつながり誰かの役に立つことができれば、長い人生はより豊かなものに輝くでしょう。
年齢を重ねることは怖くない。むしろ学ぶことはより楽しくなり、夢を語り、行動することで人生が開けていくと自身の体験から教えてくれます。