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ハーブガーデンの花摘みに込めた思い

神奈川県座間市にある「gardenbaum」は、庭のあるユニークな花屋さん。小田急線相武台前駅から歩いて15分ほどの傾斜地に広がる、セラピーガーデン「風の谷のハーブ畑」にある小さなお店です。
店主の山口裕子さんは2013年から少しずつこの地で無農薬のハーブを作り始め、2020年5月、長年の思いを込めてgardenbaumを開きました。

お店では農薬も化学肥料も使わず力強く育ったハーブやオーガニックフラワーを販売するほか、五感を使う「体験」も提供しているのが個性的です。例えば、庭で自分の好きな花を摘んでブーケを作る「ブーケセラピー」。花を見るだけでなく、香りや手触りを感じる心地良さに、心がうるおっていきます。

山口さんが体験の提供を大切にしている理由は、ご自身の経験にあります。20代の頃から複数の花屋さんで修業を積み、造園の仕事で植物に携わるうちに、「植物に人を癒やす力がある」と感じるようになりました。

その秘密をもっと知りたいと日本園芸療法研修会に学び、風の谷のハーブ畑で、障害のある方に向けた園芸療法の活動を開始します。そして園芸を通して心身を整えていく利用者の方々を見守るうちに、体験がその人の心のよりどころになる、とても尊いものと気付いたのです。

こういう時代だからこそあえて、五感を使い体験する機会を作って提供していく必要がある、と山口さんは言います。
「ここで心のモヤモヤをちょっと置いて、スッキリして帰っていただく。そういう場所が、これから絶対必要だと思うんですよ」

危ない、汚い、と土から離され、バーチャルな世界で育つ子供たち。いつでもどこでもインターネットの情報を浴び続け、疲れ切っている大人たち。もう少し居心地よく生きるヒントを探している人に、人と植物をつなぐ山口さんの思いが届けばと願います。
担当ライター 菊田 ともこ
       (きくた・ともこ)

植物が好きで、野山にいると心が落ち着く。20代、整骨院受付のアルバイトをきっかけに東洋医学に興味を持つ。40代、医療と健康に関するWEBライティングを経験し文章の面白さにはまる。
趣味は植物の絵を描くこと。
https://www.instagram.com/kikutatomo/
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